バンクーバー五輪フィギュアスケート男子は17日(日本時間)にショートプログラム(SP)が行われ、名古屋市出身の小塚崇彦選手(20)=トヨタ自動車=が、出場30人中22番目に登場する。自らも五輪に出場した父嗣彦(つぐひこ)さん(63)は「自分の力を出し切ってほしい」とエールを送る。
◇17日にSP…男子
小塚家には3代にわたるフィギュアの系譜がある。小塚選手の祖父光彦さんは愛知県スケート連盟の創設に携わった。光彦さんから指導を受けた嗣彦さんも、全日本選手権3連覇や68年グルノーブル五輪出場などの実績を残した。
光彦さんの指導は厳しく、競技をやめることさえ許されなかった。「だから反面教師なんです」と言う嗣彦さんは、父から続く道を強制しなかった。アイスホッケーやサッカー、ダンスなどに親しんだ小塚選手が自らフィギュアを選んだのは小学校高学年の時。ただし、知り合いだった佐藤信夫・久美子夫妻にコーチを頼んだ。「親子が師弟になることはない」。自分の経験による判断だった。
「私の方が器用だが、崇彦の方が努力する。やめたいと言ったことがない」と嗣彦さん。06年世界ジュニア選手権、08年スケートアメリカで優勝するなど着実に成長した小塚選手は、昨年末の全日本選手権で3位に入り、五輪出場を決めた。
早大3年時に五輪に出場した嗣彦さんは「参加することに意義がある、の言葉通り。競技のことはあまり覚えていない」と苦笑いをする。トヨタ自動車の社内留学制度で中京大に通う小塚選手も現在3年生。嗣彦さんは五輪を巡る不思議な縁も感じる。
「最近は私のアドバイスに自分の考えを言うようになってきた」と、息子の成長を感じている。「出発前には風邪を引かない、おなかを壊さない、けがをしない、と伝えた。親としてはまずは万全の体調で自分の力を発揮してほしい」。先輩として、父親として小塚選手を見守る。【村社拓信】
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